2009年5月30日土曜日

ネットワーク管理の引継ぎ資料(理想と現実の狭間)

 スラドにネットワーク管理者の業務をスムーズに引き継ぐ話題が上がっていたので、思うところを書いてみます。

 業務はドキュメント化して引き継ぐべきであり、キーマン無しで仕事が回るのが理想的です。しかし、これは既にネットワーク管理業務が定型化している場合に限られます。BINDひとつとっても、設定方法は日々微妙に変化しており、こんなものを手順化していたらキリがありません(データセンターやプロバイダは別)。ネットワーク管理者であるからには、ネットワーク・プロトコルに関して、ある程度の知識は必要です。当然DNSに関しての知識ぐらいは前提として欲しいのです。メールも管理しているのなら、SMTPの知識ぐらいは前提として欲しいのです。Windows サーバを扱うのなら、ActiveDirectory の知識ぐらいは前提にして欲しいし、ウェブサーバを扱うのなら IIS や Apache の多少の知識ぐらいは前提にしてほしいのです。これらの知識をドキュメント化していたら、本が執筆できますってば・・・。ルータについても知識はいるでしょうし、今時、RDBを知りませんでは、お話になりません。せめて、どんなメニューが揃っているのかぐらいは知ってほしいのです。それに昨今では、セキュリィティの知識と対策も要求されるのです。

 定型化していないネットワーク管理業務というのは、これらの知識を持った上で、どのようにするか構成をデザインする力が必要になります。どんなツールがあるか調査し、ツールを選択し、設定し、運用します。WSUSを導入しよう!といったアンテナが必要なんです。予算が無い場合は、内製化でツールを作成する事もあります。毎回、決まりきった仕事を繰り返すだけならば、喜んでドキュメント化しますが、ネットワーク管理業務って、そんな単純な仕事じゃないんです。せいぜい構成と指針(規則)ぐらいしか、ドキュメントとして残せないんじゃないかなー。

 まあ、ネットワーク管理業務が重たいって、再三、ぶち切れる度に言われるのが「引き継げよ」なんですが、引き継ぐためには、最低限の知識が必要で、簡単に引き継げないんです。ちょっと引き継いだだけで、信じられない勘弁してほしいと言われるような代物なんです(障害メールが1000通以上来たとか)。聞かれても即答できないような調査という反射神経が必要な業務が多いんです。

 スラドのコメントにあるとおり、上層部が仕事の重みを理解していないならば、辞退するのが賢明ってもんでしょう。

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